
はーい。こんにちわー。
元気堂です。
舌を鏡で見てみると、舌の縁に凸凹・ギザギザがある場合は、血圧に注意が必要かもしれません。
この舌を東洋医学では、歯痕雑(しこんぜつ)と言います。
この舌になってしまう原因には、舌が肥大化し歯へと無意識に押しつけられる事で生じます。
この肥大化の原因は、舌へ体液が貯留してしまった際に起こるので、水分代謝を調節する元気が落ちている事が考えられます。
そのため、東洋医学では【気虚】が疑われます。
※ 気の作用に対して知りたい方は、以前の記事を参照してください。
① 【気について】東洋医学って、少し興味あるけど、難しそう・・・。分かりやすく解説。 – 元気堂 漢方薬
この気虚とは、気の作用を上手く機能できていない状態を指すので、様々な症状が生じます。
この歯根雑の原因として、挙げられる気の作用としては、推動作用があります。
これは、血液(血)・水(津液)・排泄物を押し流したり、全身への巡りを良くする働きがあります。
また、固摂作用である維持・保持作用や漏れないようにする作用が上手く働いていない事が疑われます。
この固摂作用のイメージとして、内臓が下垂しないように保ったり(脱肛・子宮脱・胃下垂防止)、血管から組織へ水分が漏れ出ないようにする作用です(浮腫防止)。また、多汗・尿漏れ・月経が早くなるのを防いだりします。
これらの作用の低下により、舌への水分量が増えて舌が歯へと押しつけられるので歯根が生じています。
■ 歯根舌が高血圧に関与している研究結果。
この研究結果は、順天堂大学の謝敷 裕美氏らによるものです。
その結果、歯痕舌のある人は収縮期血圧(SBP)と拡張期血圧(DBP)が高いことが明らかになりました。
簡単に言えば、血圧の上も下も高かったよ!!
このような事を言っています。
このような場合の治療のアプローチとして、気虚を改善し水分代謝を良くすれば体質改善が可能でしょう。
血圧が高くなる原因には、血管の弾力性・血液がドロドロなどの生活習慣病もありますが、今回は血管に含まれる血液量が過多が疑わしいでしょう。
■ 気虚が原因である高血圧への対処法。
それは、補気薬+五苓散!!
補気薬(四君子湯・補中益気湯・黄耆建中湯などなど)に、五苓散が良いでしょう。
まずは、気虚に対して体質改善するためには、補気薬は欠かせません。
しかし、それだと少し時間がかかる可能性があるので五苓散を併用すると良いでしょう。
五苓散とは、水分代謝を改善する代表的な漢方薬の一つです。
茯苓・猪苓・沢瀉・白朮・桂枝の五種類で構成されているので、五という名前が付いています。
五苓散の用途と言えば、胃腸炎・浮腫・二日酔い・腎炎・腹水などにも使用されています。特に、嘔吐などを引き起こす胃腸炎・二日酔いの漢方薬のイメージがあるかもしれませんね。
五苓散の生薬は、茯苓・猪苓・白朮・沢瀉は、いずれも利尿作用があり、排泄を促します。残る桂枝は、血管を拡張して血行促進・吸収を高め利尿効果をサポートしてくれます。
消化管・組織にある余分な水分を、血中に戻し排尿などで排出することで病状を改善します。
五苓散は、とにかく余分な水分を出す漢方薬です。
しかし、無駄に多くの水分を出すわけでないのがオススメな理由ですね。
これは、科学的に証明されており、アクアポリンという水分の通り道を調節する役割があります。
イメージしやすくいえば、水道の蛇口ですね。
身体に過度の水分があるなら排出し、とくに排出する水分がなければ抑制もしない事が判っています。
そんな五苓散を上手く使いつつ、気虚の体質改善する事が大切でしょう。
■ まとめ
気虚に対するアプローチには、多くの補気薬があるので自分に合うものを選びましょう。
そこに、五苓散を使うと早めに血圧のコントロールが出来るかと考えます。
今回は、気虚から起こる高血圧の紹介でした。
まずは、鏡に対して舌を出してみましょう。
もし、そこに歯根舌があり、高血圧であれば東洋医学で改善する事をオススメします。
以上、参考になれば幸いです。
参考文献:American Journal of Hypertension誌オンライン版2025年4月17日号に掲載。