はーい。こんにちわー。
元気堂です。
コロナウイルスの際に、注目された清肺排毒湯!!
いまだに、100%コロナにかからない訳ではありませんが重症化しなくても、感染リスクの恐れがありますね。
これからは、インフルエンザなど他の感染症に対しても、不安な方が多くいらっしゃるかと思います。
そこで、清肺排毒湯について、今一度話して行きましょう。
一体、どんな薬なのかを知らない人は多くいらっしゃいます。どうして、これが中国・台湾で使われ、一定の効果が得られたのかを学んでいきましょう。
清肺排毒湯って、どんな漢方薬なのか??
実は、清肺排毒湯は、日本のエキス製剤にはありません。
それじゃあ、風邪になった時に服用したくても、出来ないじゃないか!!説明されても意味ないよ!
そう思うでしょうが、エキス製剤を組み合わせて、作ることができます。元々、漢方薬は引き算足し算で、作る事が出来るのです。
例えば、 四君子湯+四物湯=八珍湯。 四物湯+黄連解毒湯=温清飲 などがあります。
これと、同様に清肺排毒湯=麻杏甘石湯+胃苓湯+小柴胡湯加桔梗石膏。
もっと細かくすると、清肺排毒湯=麻杏甘石湯+平胃散+五苓散+小柴胡湯+桔梗石膏となります。
■麻杏甘石湯
構成生薬:麻黄・杏仁・甘草・石膏。
麻黄は、発熱状態では発汗することで解熱を促し、気管支平滑筋のけいれんを抑えることで、咳や呼吸を整えます。杏仁は、気道を潤す事で痰を出しやすくし、また鎮咳作用があります。石膏は、強い消炎・解熱作用を持ちます。甘草は炎症を抑え、去痰に働きます。
この漢方薬は、発熱・呼吸困難・咳嗽・口渇など肺の熱症状に対する咳や呼吸困難の基本処方となっています。コロナの気管支系の症状に使われる理由です。また、麻黄湯系であり、インフルエンザなどのウイルスを身体から追い出す漢方薬であり、清肺敗毒湯の中では、主薬ともいえる漢方薬です。
■胃苓湯(平胃散+五苓散)
平胃散の構成生薬:蒼朮・厚朴・陳皮・炙甘草・生姜・大棗
この漢方薬は、気の巡りを良くし、胃腸の湿気状態(口が粘る・悪心・嘔吐・下痢・四肢が怠い・食欲の低下など。)に使われます。
蒼朮・厚朴・陳皮が主薬で、香りが良く食欲を出させます。蒼朮は、消化管や組織の水分を血中に吸収して尿として排出します。厚朴は、食道から胃の出口のけいれんを和らげ、蠕動運動を調節します。また、蒼朮と共に、余分な水分を出します。陳皮は、胃液の分泌を高め、制吐作用を持ちます。
残りの生薬である炙甘草・生姜・大棗は、胃腸を調節するとともに余分な水分を除きます。
このように、胃腸の機能を整え、身体の水分を外に追い出します。
これに茯苓・猪苓・沢瀉・白朮・桂枝という五苓散が足されると胃苓湯になります。
五苓散は、水出しの漢方薬であり、平胃散の水分代謝を強めるために入っています。
■小柴胡湯加桔梗石膏(小柴胡湯+桔梗石膏)
小柴胡湯の構成生薬:柴胡・黄芩 ・半夏・党参・生姜・炙甘草・大棗です。これに、桔梗と石膏が足されます。
この漢方薬は、半表半裏という状態に使用されます。身体の奥に病邪が半分入った状態です。そのため、麻杏甘石湯のように、まだ奥へ病邪が入っていない表証と比べると、炎症性疾患から経過した者に見られます。
柴胡と黄芩 の解熱作用(特に抗ウイルス・抗菌作用が強い生薬の二つ)あります。また、自律神経の乱れを改善します。半夏・生姜は制吐作用・胃の調節・軽度の発汗作用などがあり胃腸を整えます。党参・炙甘草・大棗が胃を元気にし、他の生薬をサポートする構成です。ここに、桔梗・石膏という生薬を加える事で、咽頭炎・高熱・関節痛などの強い炎症を抑制する作用があります。
まとめ
以上の事柄から、非常に汎用性が高い漢方薬なのが清肺排毒湯です。
風邪という病邪が、表面から身体の奥半分まで侵入したとしても対応できる構成となっています。
胃腸薬が多く入っているのは、体力の低下を防ぐ役割があるのかなと思います。水分代謝の生薬が多いのは、胃の機能の低下を見越して、補助としてかもしれません。
風邪の原因となる最近・ウイルスに対して麻黄湯や葛根湯でも良かったのですが、身体の奥へ侵入した場合に、それでは対処が出来ないために小柴胡湯という漢方薬が含まれているのが特徴でしょう。
以上、参考になれば幸いです。
漢方専門薬局元気堂(各種生薬、健康食品の通信販売、漢方無料個別相談) (kanpo.co.jp)
参考:
COVID-19 感染症に対する漢方治療の考え方(改訂 ver 2)
金沢大学附属病院漢方医学科
小川 恵子
中医学処方解説 神戸中医研究会 編著 伊藤良 山本巌 監修