はーい。こんにちわー。
元気堂です。
東洋医学において、歯つまり骨は、五行説において腎が大切となります。
この腎という考えの中には、腎臓だけでなく加齢による疾患である白髪・腰痛・膝痛・脱毛・精力減退・難聴・更年期障害・冷え症など様々な病態が含まれます。
そんな中で、加齢により弱るのが歯(骨)!!
年を取ると、骨が脆くなりやすいので折れたり・抜けることも・・・。
もちろん、歯周病などの原因もありますが、それでも加齢に伴い入れ歯になったり差し歯になる事もあるでしょう。
今回、そんな歯の損失が、認知症にも影響する事が判明したようです
認知症リスクと歯の損失とは!?
今回の研究は、東北大学の木内 桜氏らによるもので、日本人高齢者の歯の数に対する平均余命などの関連を研究したようです。
【調査内容】
・ 2010〜20年の10年間フォローアップ調査。
・ 対象者は、機能的に自立した65歳以上の高齢者4万4083人(男性の割合:46.8%) / 平均年齢は73.7±6.0歳
・ 歯の数は、20本以上 / 10〜19本 / 1〜9本 / 0本に分類。
・ 10年間のフォローアップ期間中における認知症の発症および死亡率を収集。
・ 歯の数に応じ、認知症のない平均余命・認知症の有無によらない平均余命を推定するため、multistate modelingを使用。
【結果】
・ 期間中に、認知症を発症した割合は17.3%・死亡率は21.4%
・ 20本以上の歯を持つ場合と比較し、歯の数が少ないことは、認知症リスク増加。
・ 20本以上の歯を持つ場合と比較し、歯の数が少ないことは、死亡率増加。
・ 65歳時点での認知症のない平均余命は、0本の人と比較し、歯が20本以上の人のほうが長い。
・ 65歳時点での認知症の有無に関わらない平均余命も、歯が20本以上の人のほうが長い。
以上の結果をまとめると、20本以上の歯を持つ場合は、歯の数が少ない方に比べると認知症リスク・死亡率が少なく、平均余命が長くなる事が判明。
加齢に関係なく、口腔内の環境を良くして歯を残そう。
加齢により唾液量が低下すると、口腔内の環境が悪くなります。
骨が脆くなるだけでなく、その環境も悪ければ、歯の余命が短くなるのはイメージしやすいでしょう。
では、今日から出来る環境作りが大切でしょう。
唾液の分泌には、口周りの筋肉と自律神経が関与しています。
口周りの筋肉が動くことで、その筋肉が唾液腺に働き、唾液が分泌されます。また、ストレスを感じると、自律神経が乱れて、唾液量が低下するのです。
そのため、食事はよく噛んで食べたり、人との良く話すことも良いでしょう。
また、歌を歌うこともオススメです。
それでも、なかなか難しい場合には、甘露飲という漢方薬がファーストチョイス。
甘露飲とは、歯を磨くと血が出る、歯茎が腫れる、口が粘る、口臭がするなどの症状がある方には、おすすめです。
また、甘露飲には、粘膜に潤いを与える石斛(セッコク)、麦門冬、天門冬、地黄。腫れや痛みを改善する黄岑、枇杷葉、茵陳が配合されています。
繰り返す口内炎や、歯周炎、舌の荒れや痛みなど、口腔トラブルを体の中から改善することができる漢方薬です。
簡単に言えば、口腔内の潤い・歯ぐきなどを滋養する生薬と腫れなどを抑える生薬が含まれています。
口内環境は問題ない場合は、補腎薬という漢方薬が大切。
一言で言えば、補腎薬は老化予防の漢方薬となります。
そのため、老化による症状には、まず服用しておけば間違いないでしょう。
台湾の先生とお話した際には、基本的には40歳未満は六味地黄丸・それ以降は八味地黄丸を飲みなさいとも言われます。
40歳未満でも、身体に冷え・寒さがある場合には、八味地黄丸がオススメです。
最近の方は、過度なダイエット・運動で、健康そうに見えても冷え症を持つ方も多いです。これは、男女関係なく見られますね。
基本的に、身体を滋養する漢方薬のため、予防として服用する方も多くいるのが、補腎薬です。
まとめ
認知症リスク・死亡率を低下させたいのであれば、まずは歯の健康が大切な事が判りました。
そのためには、歯の丈夫さは大事ですが、その環境も大切です。
口臭がキツくなった・歯ぐきが腫れやすい・唾液が少ない・・・。
このような兆候があれば、早めに対応していくといいかと思います。
以上、参考になれば幸いです。
参考文献:Journal of the American Medical Directors Association誌2024年11月号の報告