はーい。こんにちわー。
元気堂です。
海外の研究において、犬の聴力が衰えるにつれ、知能も低下すること判明したそうです。人間で言えば、年を取るにつれ耳が遠くなったり、認知機能の低下などは老化現象の1つといえます。
65歳以上の3人に1人は、加齢により聴力が低下し、該当する方の中には認知力の低下速度が約30~40%速いとされています。また、聴力低下により、高血圧や肥満などの生活習慣病よりも、認知症に大きく影響を及ぼす事が分かっています。
しかし、犬という動物においては、これまで関連性を示されてきませんでした。今回の研究結果により、聴覚という感覚喪失が犬の認知機能に及ぼす影響を知る事が出来るため、より適した治療へつながる可能性があるとされています。
人も犬も、聴覚の低下があれば、認知機能を注意する必要性あり!!
人の場合には、聴覚の低下⇒認知症の可能性 は老後の健康を予測するために有意義な判断材料となります。また、このような感覚の低下は、運動機能の低下にも関わっていきます。
そのため、高齢者で多い、転倒事故の予想にも繋がっていきます。
このような流れで考えると、犬も聴覚の低下から注意すべき点が見えてくるでしょう。
東洋医学では、腎虚が深い関わりがあり!!
ここでいう腎は腎臓という意味ではなく、五行説という五臓六腑の分類による腎という概念になります。
東洋医学の腎という考えは、排泄だけでなく、生殖・成長・発育を促す作用があります。その他にも、納気作用という呼吸に関わったり、水分代謝にも関わりがあります。
腎の役割として、1番代表的なのが、精を蔵し、発育・生殖を主るという事です。 腎に蓄えられた精の事を腎精とも言います。ここでいう精は、両親から受け継いだ精(先天の精)・食事から作られた精(後天の精)があり、どちらの精も、生命の根本となす物であり、必要不可欠な物となります。
この腎精が充実していれば、発育・成長は促進し、老化も遅くなります。逆に、不足気味な場合には、成長が遅かったり、未成熟・老化が早いなどが生じます。
少し難しくなり、分からない方は今回の場合にみ、以下のイメージだけ持っておいてください。
腎精が豊富であれば、聴覚の低下・認知症の予防へ繋がる。
東洋医学の腎は、多くの働きがありますが、骨・脳・髪・耳と深い関係を持っています。
■ 腎気は、耳に通じる。
■ 腎は骨を主り、髄を生じ、脳に通ず。
東洋医学では、このような言葉があり、腎の気が低下すると、通じている耳へ、気が通らないために、機能も低下する事を意味します。
また、腎は骨にも関与します。つまり、成長や老化に関係していることが想像できましょう。骨を作るには、骨髄である髄が必要であり、これを作り出す作用が腎にはあります。脳は、髄の集まりとされているため、髄を作り出す腎の働きの低下が脳の働きに影響します。
つまり、腎の機能低下である腎虚が起これば、耳や脳などの症状が現れてしまうのです。
・ 大まかな腎虚の症状とは??
腎気虚:健忘・聴力の低下・耳鳴り・めまい・頻尿・足腰が弱くなる・倦怠感・動作緩慢・白髪・発育不全など
他にも、温め作用の低下(腎陽虚)・潤したり、冷やしたりする作用の低下で、身体に熱症状が出る(腎陰虚)など腎虚と言っても種類が存在します。
腎虚を予防しておく事で、老化現象を抑えることに繋がる。
腎精を補うには、腎精となるものを補充する事・食事から作り出す精も重要となります。基本的には、先ほど話した後天の精を補充するには、食事が大切です。食事から精を作り出すには、脾胃の働きも関係するために、脾胃を元気にするというアプローチも考えていくといいでしょう。
そのため、腎虚を疑ったり、予防する時には、補腎薬となる漢方薬の他に、脾胃を元気にする漢方薬も考慮に入れる必要性があります。
代表的な補腎薬には、六味地黄丸・左帰丸・八味丸・右帰丸・還少丹など。
脾胃を元気にする漢方薬には、四君子湯・六君子湯・人参湯・補中益気湯・保和丸・香砂六君子湯など。
※ 症状などにより、選択する漢方薬が変わります。
その中でも、補腎薬の基本ベースとなる六味地黄丸・補気薬の基本となる四君子湯に触れておきましょう。
■ 六味地黄丸
腎精不足により、身体を冷やす作用が低下した事で、身体を温める作用が強く出てしまう陰虚が起きている際の処方です。老化の初期にでるとされるのが、この腎陰虚です。また、子供の発育促進・運動改善などを促進する役割があります。
老化の初期のため、予防にも使える漢方薬です。もし、ほてり・寝汗などの虚熱症状よりも、冷えや寒さが強い際には、身体を温める生薬に、六味地黄丸の組み合わせの八味地黄丸の方が合うと思われます。
■ 四君子湯
脾胃を元気にするだけでなく、身体を滋養する基本処方とされています。多くの補気薬のベースとされており、大概がこの処方に含まれる生薬を含むため、補気薬で悩む場合には、こちらを試してみると良いでしょう。
また、後天の精を作り出す脾胃の働きを助ける事が特徴であり、全身の元気や栄養を補う働きがあります。
まとめ
犬の老化現象の1つである聴覚の低下がある際には、早めから治療を始める事が大切です。認知症にならないためには、東洋医学である腎精を補う事が大切です。
腎精を補うには、補腎+後天の精の機能を高める補気薬が重要となります。
すでに、他の症状や疾患が出ている場合には、そちらの治療をすることで、身体が楽になり、自分自身でも腎精を補える可能性もあります。
アプローチは1つではないので、参考になれば幸いです。
参考文献:「Journal of Veterinary Internal Medicine」に8月6日掲載