林先生による漢方の症例(白僵蚕 編)。内風という症状には、試す価値あり!!

はーい。こんにちわー。

元気堂です。

本日は、台湾の獣医師である林先生による生薬についてあげたいと思います。

林先生は台湾だけでなく、日本の獣医師資格を持つ優秀な方です。

そんな先生が白僵蚕つまりカイコですね。その使い方について話してくれました。

林先生の漢方講座。

■ 臨床で白僵蚕の使い方

白僵蚕(ビャッキョウサン)は、カイコが病気にかかり死んだ状態のまま腐敗せずに硬直し、白い粉で覆われたようになったものです。中国では古くからこの白僵蚕を生薬として用いてきました。

『神農本草経』の中品に収載され、「味は鹹。小児の驚癇、夜啼を治し、三虫を去り、黒黯を減らし、顔色をよくする。男子の陰瘍病によい」と記されています。

漢方的には解表、止痙、化痰の効能があり、鎮痙,鎮痛薬として,小児痙攣,扁桃炎,頭痛,歯痛のほか,中風による言語障害,半身不髄などに内服します。

外用としては,湿疹,潰瘍などの皮膚病の瘢痕を消すのに用います。

ここからは林先生の体験談。

個人的な経験から、犬と猫の「内風」に対して、白僵蚕はよく効きます。

疾病が進展する過程で、陽亢や陰虚により六淫の風邪に似た症状が現れるものを内風といいます。めまい・動揺感・震え・しびれ・痙攣・強ばりなどが現れる時は白僵蚕を使います。

例えば、特発性前庭疾患、顔面神経麻痺とてんかんなど。症状により対処療法を行って、白僵蚕と他の漢方薬を飲んで、風邪を除くことが期待できると思います。
高齢になった犬で、急に頭が傾き(斜頸)、黒目が横に流れたり(水平眼振)、回転したり(回転性眼振)します。同じ方向にグルグルと歩き回ったり(旋回運動)、立ち上がれず横になって転んだまま一方向に回転したりします。

そんな時に、よく使う漢方薬は「半夏白朮天麻湯」と「白僵蚕」です。

顔面神経麻痺では、顔の筋肉を動かすことができなくなるので、まばたきができない、唇が垂れさがるなどの症状が現れます。片側のみ起こることも多くて、さまざまな原因で発症します。その中でも、検査上で原因が特定されない特発性に分類されるものが、犬ではよくみられます。

特発性顔面神経麻痺では、突然症状が現れ、炎症を伴います。
その際には「補陽還五湯」と「白僵蚕」という漢方薬を用います。

てんかんでは、脳に異常な電気信号の伝達が起き、それによりてんかん発作が繰り返される脳の病気です。てんかん発作は、脳の神経ニューロンの電気信号が過剰になり、乱れが起きることで出る一時的な発作のことをいいます。てんかんは、大きく特発性と症候性に分けられます。また、症候性が疑われても検査などで原因が特定できない「おそらく症候性」のてんかんもあります。

よく使う漢方薬は「天麻鈎藤飲」と「白僵蚕」です。

このように、白僵蚕は加味する事で使う事が多く汎用性が高い生薬でしょう。

まとめ

今回は、白僵蚕という生薬についてでした。
内風という症状は意外と多く改善するにも少し時間がかかるので、試してみるといいかもしれませんね。

その他にも、余談としてカイコは繭玉というお風呂にも使用されます。

繭の成分は、フィブロンという繊維状のタンパク質と、セリシンという水溶性のタンパク質に分かれます。前者は、シルクとして使用されますが、このセリシンは染料の浸透を妨げることから捨てられていました。

しかし、この捨てていたセリシンは、人の保湿成分に似ていることが分かりました。そのため、天然の保湿剤としてスキンケア商品に含まれるようになりました。
セリシンは、水溶性のためお風呂に入れれば、その成分が溶け出していきます。

夏で紫外線で傷めた肌を癒やすのにも、カイコの力を頼るのも良いでしょう。また、普段からアトピー体質であれば、日常的に使用するのもおすすめです。

以上、参考になれば幸いです。
参考文献:漢方薬・生薬大辞典内生の五邪概念と分類 特発性前庭疾患 顔面神経麻痺 てんかん

漢方専門薬局元気堂(各種生薬、健康食品の通信販売、漢方無料個別相談) (kanpo.co.jp)

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