不定愁訴つまり原因がよく分からない疾患が、引き起こす疲労の原因とは?? 

はーい。こんにちわー。

元気堂です。

不定愁訴という言葉を知っているでしょうか??
まず、身体に違和感を感じ、それを口で表現することを愁訴(しゅうそ)といいます。しかし、それを他者へと伝える事が出来ず、本人しか分からない。体調不良を感じて病院で診察・検査を受けても、特に異常は見つからず不調の原因がわからないといった原因が不定・・・。

このような場合、不定愁訴と呼ばれます。

不定愁訴の原因は、自律神経の乱れとも言われますが、そこへ至るには様々な原因があります。
例えば、精神的ストレス・不規則な生活習慣・ホルモンバランスの乱れなど

女性の場合ですと、ホルモンバランスの乱れから起こる事が多く、PMS・更年期障害なども生じることがあります。
また、10代の自律神経の乱れでは起立性調節障害なども起こります。

そんな不定愁訴がある方は、疲れやすい事が明らかになりました。

不定愁訴は、疲労を悪化させる原因だった!?

東洋医学では、不定愁訴を気虚という言葉に置き換えることができるかもしれません。

気虚とは、身体の元気が不足している状態となり、自分自身で身体を正常にする力が低下している状態です。
そのため、気が不足した様々な症状が出てきます。

気と言っても、種類が豊富!! 気の種類を知ろう!!

気の6つの種類を知ろう。

① 元気

これは、皆さんもイメージしやすいかと思います。元気は、臓腑の働きを助け、身体の機能を発揮させます。生命力の源であり、真気・原気とも呼ばれます。不足すれば、様々な機能の低下が起きてしまいます。疲れたときには、身体が動かないのも、これが不足しているからですね。

この元気は、父母から受け継がれる(先天の精)。さらに食事(水穀の精微)などから補われていきます。

② 宗気

宗気とは、肺と心に関与します。肺とともに、呼吸を行い、心とともに血液の循環を助けてくれます。この宗気は、その役割から胸中に存在していると言われます。また、呼吸から得られた空気(清気)と食事(水穀の精微)から作られます。

子供の時に、喘息が多いのも、宗気不足が関係しています。

③ 営気

営気とは、栄養する気と言っていいでしょう。食事(水穀の精微)から作られて、全身を血液(血)とともに栄養します。そのため、営血とも呼ばれます。

④ 衛気

衛気とは、防衛のための気と思うと分かりやすいです。これも、食事(水穀の精微)から作られ、体内体外を絶えず流れています。そのため、身体の表面を守り、風邪(外邪)が体内へ入るのを防衛します。

また、体内の管理もし、体温の維持を促し、皮膚・筋肉・組織などを温めます。

⑤ 臓腑の気

臓腑の気は、その名の通り、臓腑を機能に作用するものです。食事(水穀の精微)・空気(清気)・元気と父母からもらったもの(腎精)により作られます。

⑥ 経絡の気

臓腑の気と同じで、名の通り、経絡に作用する気であり、作られ方も同じです。

気の働きとは何か??

① 推動作用

この働きは、歩いたり、走ったり、話すなどの全ての行動に関与します。

■ 気は、血液(血)・水(津液)・排泄物を押し流す。

全身に水分や血液が行き渡す作用・身体の老廃物や排泄物を体外に出す作用も、この推動作用が関与します。

■ 気は臓腑に働きかける。

動きに関与するので、内臓の作用にも勿論、関与します。
行動する為には、必要な作用ぐらいで覚えておきましょう。

推動作用の低下により、動きが緩慢・疲れやすい・息切れ・なまあくび・疲れると症状悪化などを起こします。

② 温煦作用

体温の維持に関与する作用です。種類で言えば、衛気が関与しています。
人間は、身体が冷えると死んでしまうので、重要な作用です。

温煦作用の低下 【陽虚証】となると、顔色が青白い・冷え・水下痢・尿が薄いなどの冷寒症状を伴う。温めると症状が良くなるといった症状を現します。

③ 防衛作用

名前の通り、防衛作用で、これも衛気が関与します。身体を防御する働きのため、低下により風邪を引きやすく、汗のコントロールがうまく行かなくなります。

④ 固摂作用

これは、維持・保持作用や漏れないようにする作用といえます。

内臓が下垂しないように保ったり(脱肛・子宮脱・胃下垂防止)、血管から組織へ水分が漏れ出ないようにする作用です(浮腫防止)。また、多汗・尿漏れ・月経が早くなるのを防いだりします。

⑤気化作用

気の力で、物を変化させる作用です。食事(水穀の精微)から血液(血)・水分(津液)などを作りだし、体内に不要な水分を尿・汗に変化させます。

気化作用の低下により、変換できないために汗が出ない・尿が出ない・むくみなどの症状が現れます。

⑥ 営養作用

気の営気が関与します。大量の栄養を含み、血液(血)を作りだします。
営養作用の低下は、イメージ通り、痩せやすく、疲れやすいなどを生じます。

気虚が酷くなると・・・気の巡りが落ち、精神疾患に・・・

気の巡りが悪くなると気滞症という症状になっていきます。
そして、特に影響があるのが肝です。

肝の気の推動作用を【肝の疏泄作用】と呼ばれます。これが悪化する事を肝気鬱結とも呼ばれます。字のごとく、気持ちの滞りがおき、精神的な症状が生じます。

【 肝の疏泄作用とは 】

① 気というエネルギーや栄養を全身に運び、調節する。

② 精神的に思い詰めないように、安定させる。塞いだ気持ちも流し、正常な判断が出来るようにする。

③ 胃腸の作用をサポートして、流れを良くし胆汁の分泌をする。

ここで、気が付いた方もいるでしょう。②の働きが、精神に関与していきます。

以上の事から考えると・・・。

不定愁訴で疲労が悪化するというよりも、根本に気虚がある!!

とも考えられますね。

不定愁訴の対策には、気虚を改善する事が良いかもしれませんね。そのような場合に、気を補う漢方薬がオススメ。
特に、補中益気湯が良いでしょう。

この漢方薬には、身体を滋養して元気にするだけでなく、柴胡という生薬が含まれています。
この柴胡は、気を巡らし、精神安定を促す作用があります。
そのため、日々のストレス対策にもよく、気の巡りを改善しつつ身体を元気にしてくれるのです。

まとめ

不定愁訴のような症状には、東洋医学が非常に相性が良いでしょう。

西洋医学とは違う診断方法であり、検査値で判断できない疾患にはオススメです。
また、治療だけではな予防にも使いやすいのが漢方薬です。

身体を滋養する補法に優れ、慢性疲労にも対応できます。

自分自身に不定愁訴があるなぁ―と感じていれば、試してみると良いでしょう。

以上、参考になれば幸いです。

参考文献:「Journal of General and Family Medicine」1月号に掲載

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