
胆石・胆泥などにより、胆嚢の摘出手術を受けるペットも多くいます。
そんな手術の後の悩みとして、良く消化器疾患(腹痛・食欲低下・吐き気・下痢など)が見られますね。
これは、胆嚢が行っていた役割が低下するためですね。
では、胆嚢はどんな役割を行っているのでしょうか。
胆嚢の役割は大きく2点!!
■ まず1つは、肝臓でつくられた胆汁をためる。かつ、濃縮する役割です。
■ 次に、胃で消化された食物が十二指腸に送られるタイミングに、胆汁を十二指腸へ送り出すことです。
胆汁は、食物中に含まれる脂肪を効率的に消化吸収させる働きがあります。
そのため、胆嚢を摘出してしまうと胆汁を溜める事ができず、濃縮することも出来ません。
すると、胆汁が溜まっていないので食事の際にうまく出ない上に濃縮もされていないので働きは低下します。
結果的に、消化吸収が悪くなるために、腹部の症状が現れやすくなります。
胆嚢を摘出したら、どうするのか!?
■ まずは、食事の内容を見直して予防していきましょう。
・ 症状を軽くするには規則正しい時間に、食事を取る。
・ 脂肪の吸収が上手くいかないので、低脂肪食の食事内容に。
・ 当たり前ですが、栄養バランスのとれた食事を心がける。
この挙げた中でも、無駄に油つまり脂肪分を取らないようにしましょう。
例えば、肉なら脂身が少ない赤身が多いものを選んだり、鶏皮を取り除いたものが良いでしょう。
また、揚げ物を控えてたり、油を使うよりも蒸し料理にするなどの工夫も良いでしょう。
■ 摘出後の注意点として
胆嚢摘出後は、肝酵素つまり肝臓の検査マーカーが異常な上昇が起きる場合があり!!
これは、一時で落ち着く事もありますが、半永久的に肝酵素上昇が起きる可能性も・・・。
胆嚢を摘出しているので、胆汁が通る胆道に負担がかかるからと考えられてるからですね。
次に、胆汁酸が直接小腸に流れます。
酸が直接的に腸に流れるという事は、腸内環境にも影響が出ますね。
これにより、腸に炎症が起こりやすく、症状医によってはポリープの発生リスクが高まることも・・・。
東洋医学的には、どのように対応するのか!?
まずは、腹痛・食欲低下・吐き気・下痢など消化吸収に影響がでるため、それに応じた漢方薬を考慮すると良いでしょう。
そのため、脾胃など気を補う補気薬をベースに使用しましょう。例えば、四君子湯・人参湯・香砂六君子湯・黄耆建中湯など。
この補気薬の1番基本となるのが、四君子湯となります。
この四君子湯には、補気の主薬である人参が多く配合され、補気利水などの作用がある白朮・茯苓に、補気作用と薬全体を調節する炙甘草で構成されています。
これにより、中枢神経の興奮を促進(やる気・各種機能の亢進)・免疫力を高める・消化促進・むくみ改善などに効果を示します。簡単に言い換えると、身体を元気にすることにより、全身の働きを正常化させる役割があります。
あくまで、四君子湯は基本の補気薬です。
腹部の冷えが強く下痢をする際には、人参湯を選んだり、腹部の膨満感などで動きが悪い場合には、大建中湯・黄耆建中湯などを選んだりします。
食欲低下・吐き気などが強いのであれば、香砂六君子湯なども考慮に入れることも必要でしょう。
また、脂肪の消化吸収を促す山査子もオススメでしょう。
山査子は生薬として健胃、消化薬など消化不良・食欲不振防止に使われています。
山査子は、肉・脂肪・乳製品など、脂質の多い飲食物の消化を促進する代表生薬です。(豆やたんぱく質の消化の代表は神麹、炭水化物の消化の代表は麦芽です。)
山査子の働きとして、胃酸の分泌促進によって消化不良を改善し、胃の負担を軽くします。胃酸の分泌を促進する働きがあるため、胃酸過多や胃潰瘍を持っている動物は使用しないようにしましょう。
まとめ
人間もペットも胆嚢の摘出手術をするために、その後の後遺症などを上手く対処する事が大切かと思います。
今回は、そんな際に使える漢方・生薬の紹介でした。
以上、参考になれば幸いです。