はーい。こんにちわー。
元気堂です。
ステロイドというと皮膚疾患・喘息などにも用いられており、意外とよく出される薬かと思います。少し昔では、ステロイドの副作用の怖さで、使うのが怖い・・・。このようなイメージもあるでしょう。
基本的には、適切に使用する事で有益な薬である事は分かっています。現病歴の治療と副作用を天秤にかけて、使用する事もあるでしょう。そのため、長期の服用となっている方もいるかと思います。
今回は、そんなステロイドについて新たな可能性が明らかになりました。言っておきますが、まだ可能性のため参考までにしておくと良いでしょう。
ステロイドの長期服用で、脳の構造が変化するかもしれない!!
脳が変化すると聞くと、心中穏やかではいられないかと思います。長期間にわたるステロイドの使用によって、脳の一部の領域が縮小あるいは拡大して、脳の構造が変化する可能性があると報告されたのです。
これは、ライデン大学医療センター(オランダ)のMerel van der Meulen氏らの研究によるものです。
おおまかに、ステロイドを知る所から始めましょう。
ステロイドとは、副腎から出されるステロイドホルモンを化学的に似るように作られた薬です。そのため、ステロイドと同じ作用を示し、抗炎症作用・免疫抑制作用・血管収縮作用など多くの働きがあります。この作用を応用して、多くの疾患の治療に使われています。
以下のBlog記事も、ステロイドについても話しているので、参考にしてください。
ステロイドのリバウンドの怖さが話題に!? テレビ放映の鵜呑みの危険性・・・。 – 元気堂 漢方薬 (pet-kanpo.com)
【ペット漢方】ステロイド・免疫抑制剤を止めると、また症状が・・・。繰り返す場合は、体質改善が必要。 – 元気堂 漢方薬 (pet-kanpo.com)
多くの治療に使えるなら、汎用性が高く使いやすいじゃないか!! このようにも思えます。しかし、長期服用が少し問題となっていきます。
身体に常にステロイドを服用していると、副腎はステロイドホルモンが十分にあると勘違いして、作る事を抑えてしまうのです。これは、ステロイドホルモンの過多が起こると、身体が作りすぎだーーー!!と、反応して脳へ指令をだします。すると、脳が副腎へ抑えるように指令を出すために起こります。
基本的に、このような事を避けるために医師などの医療従事者により管理がされています。また、病気により副作用よりも治療を優先する場合もあるので、一概に長期服用を止めようという事ではありません。このような場合には、かかりつけ医とよく相談する事が1番でしょう。
このように、副腎から作り出すことが低下した状態で、急なステロイドの服用を止める事も避けましょう。脳からいくら作れ―――と指令が来ても、萎縮した副腎は、急には作れません。まるで、ドラマの大手からの無理な発注に、答える下請け企業のようなイメージになります。
そのため、ステロイドを止めるときも徐々に止める事が大切です。ゆっくりであれば、身体もそれに順応していきます。
今回の研究について、一度話を戻しましょう。
UKバイオバンク(英国の50万人以上の住民を対象に、定期的に収集された遺伝・健康に関するデータ)のMRIの結果を用いています。
① 全身投与(点滴・錠剤により、ステロイド薬の服用 222人)
② 部分投与(喘息や肺の疾患の治療のために、ステロイド薬を吸入557人)
③ 未使用(ステロイド薬なし。対照2万4,106人)の脳画像データと比較しています。
つまり、膨大なデータから比較検証を行ったという事です。
その結果、③と比べると、①・②では脳の白質の整合性が低下していることが判明されました。白質の役割は、脳と脳の情報伝達に関わります。そのため、学習や脳機能に影響を与え、活動電位の分布を調節しています。
①では、尾状核(脳の大脳基底核に位置する神経核)の灰白質の体積が大きいことに関連。
②では、扁桃体の灰白質の体積の小さいことに関連。
この尾状核と扁桃体は、いずれも思考や記憶、感情の処理に関わっているため、白質の伝達が関与している可能性があります。
その他にも、脳に影響を与える可能性から認知機能・情緒的機能の評価も行われました。
①の場合では、脳の処理速度を測定する検査の結果が悪く、抑うつや無気力、落ち着きのなさ、疲労、倦怠感といった症状を報告した人が多い。
②の場合では、疲労のみ報告。
今回の研究報告により、ステロイド薬の長期服用は脳に微少な変化をもたらす可能性が高いとされています。しかし、まだ可能性であり、ステロイドの休薬により脳の変化が戻るのか戻らないかも分かっていません。ただ、長期服用による副作用には、せん妄・抑うつなどの情緒の異変はあり、脳との関係も否定が出来ないと判断されています。
まとめ
ステロイド薬は、抗炎症作用などの優れているため、多く疾患に有用でしょう。しかし、その反面デメリットがある事を理解しておきましょう。基本的には、対症療法であり根本治療ではありません。
根本治療を目指す場合には、生活スタイルを見直したり、東洋医学を試したりなど治療方法は他にもあるので、上手に選択をする事が大切です。
薬は上手に使わないと、毒にもなります。当たり前だよ!! このような声が聞こえそうですが、この当たり前が難しくもあります。
以上、参考になれば幸いです。
参考文献:「BMJ Open」に8月30日