
はーい。こんにちわー。
元気堂です。
不定愁訴という言葉を知っているでしょうか??
まず、身体に違和感を感じ、それを口で表現することを愁訴(しゅうそ)といいます。
しかし、それを他者へと伝える事が出来ず、本人しか分からない。体調不良を感じて病院で診察・検査を受けても、特に異常は見つからず不調の原因がわからないといった原因が不定・・・。
このような場合、不定愁訴と呼ばれます。
不定愁訴の原因は、自律神経の乱れとも言われますが、そこへ至るには様々な原因があります。
例えば、精神的ストレス・不規則な生活習慣・ホルモンバランスの乱れなど
女性の場合ですと、ホルモンバランスの乱れから起こる事が多く、PMS・更年期障害なども生じることがあります。
また、10代の自律神経の乱れでは起立性調節障害なども起こります。
様々な原因の1つに、食事が大きく関係している可能性がある事が、研究により判明したようです。
和洋女子大学健康栄養学科の鈴木敏和氏らによる研究によると、女性は、男性よりも不定愁訴を訴える可能性が高く、日本の若い女性における不定愁訴・抑うつ症状の重症度が、魚介類の摂取量と逆相関するという報告があがっています。
不定愁訴・抑うつ症状が多く出るグループの特徴として、エイコサペンタエン酸(EPA)・ドコサヘキサエン酸(DHA)・ビタミンD・ビタミンB12の摂取量が少ない事が判り、日本人において、これらの栄養素の摂取する方法としていて主に魚から摂取しています。
つまり、魚介類の摂取量が減ると、上記の栄養素が不足するために不定愁訴・抑うつ症状が生じやすいという逆相関が浮かび上がっています。
また、亜鉛・セレン・モリブデン・パントテン酸といったその他の微量栄養素も減少していることも判明しています。
東洋医学の観点から考えてみると、様々な栄養素の不足 ⇒ 気の不足が最も近いのではないかと考えられます。
そのため、東洋医学では、不定愁訴を気虚という言葉に置き換えることができるかもしれません。
気虚とは、身体の元気が不足している状態となり、自分自身で身体を正常にする力が低下している状態です。
そのため、気が不足した様々な症状が出てきます。
■ 気の種類を知り、起こりうる不定愁訴を知ろう。
① 元気
これは、皆さんもイメージしやすいかと思います。元気は、臓腑の働きを助け、身体の機能を発揮させます。
生命力の源であり、真気・原気とも呼ばれます。不足すれば、様々な機能の低下が起きてしまいます。疲れたときには、身体が動かないのも、これが不足しているからですね。
この元気は、父母から受け継がれる(先天の精)。さらに食事(水穀の精微)などから補われていきます。
不足すれば、元気がないため、抑うつ感・ヤル気が出ない・食欲不振などが生じやすいでしょう。
② 宗気
宗気とは、肺と心に関与します。肺とともに、呼吸を行い、心とともに血液の循環を助けてくれます。この宗気は、その役割から胸中に存在していると言われます。また、呼吸から得られた空気(清気)と食事(水穀の精微)から作られます。
子供の時に、喘息が多いのも、宗気不足が関係しています。
不足すれば、呼吸器官系に症状が出るかと思います。
③ 営気
営気とは、栄養する気と言っていいでしょう。食事(水穀の精微)から作られて、全身を血液(血)とともに栄養します。そのため、営血とも呼ばれます。
不足すると、全身の栄養不足・脱力感が出ると想像出来ます。
④ 衛気
衛気とは、防衛のための気と思うと分かりやすいです。これも、食事(水穀の精微)から作られ、体内体外を絶えず流れています。そのため、身体の表面を守り、風邪(外邪)が体内へ入るのを防衛します。
また、体内の管理もし、体温の維持を促し、皮膚・筋肉・組織などを温めます。
不足すると、風邪などの病邪が身体に侵入しやすくなり、しょっちゅう風邪を引くことでしょう。
⑤ 臓腑の気
臓腑の気は、その名の通り、臓腑を機能に作用するものです。食事(水穀の精微)・空気(清気)・元気と父母からもらったもの(腎精)により作られます。
不足すると、体内の様々な働きを乱すことが判るかと思います。
⑥ 経絡の気
臓腑の気と同じで、名の通り、経絡に作用する気であり、作られ方も同じです。
不足すれば、経絡の乱れを生じるので、その経絡の詰まりなどにより痛み・張りなどが出てくるでしょう。
■ 気の働きも知ることでも、不定愁訴の対策に!!
① 推動作用
この働きは、歩いたり、走ったり、話すなどの全ての行動に関与します。
■ 気は、血液(血)・水(津液)・排泄物を押し流す。
全身に水分や血液が行き渡す作用・身体の老廃物や排泄物を体外に出す作用も、この推動作用が関与します。
■ 気は臓腑に働きかける。
動きに関与するので、内臓の作用にも勿論、関与します。
行動する為には、必要な作用ぐらいで覚えておきましょう。
推動作用の低下により、動きが緩慢・疲れやすい・息切れ・なまあくび・疲れると症状悪化などを起こします。
② 温煦作用
体温の維持に関与する作用です。種類で言えば、衛気が関与しています。
人間は、身体が冷えると死んでしまうので、重要な作用です。
温煦作用の低下 【陽虚証】となると、顔色が青白い・冷え・水下痢・尿が薄いなどの冷寒症状を伴う。温めると症状が良くなるといった症状を現します。
③ 防衛作用
名前の通り、防衛作用で、これも衛気が関与します。身体を防御する働きのため、低下により風邪を引きやすく、汗のコントロールがうまく行かなくなります。
④ 固摂作用
これは、維持・保持作用や漏れないようにする作用といえます。
内臓が下垂しないように保ったり(脱肛・子宮脱・胃下垂防止)、血管から組織へ水分が漏れ出ないようにする作用です(浮腫防止)。また、多汗・尿漏れ・月経が早くなるのを防いだりします。
⑤ 気化作用
気の力で、物を変化させる作用です。食事(水穀の精微)から血液(血)・水分(津液)などを作りだし、体内に不要な水分を尿・汗に変化させます。
気化作用の低下により、変換できないために汗が出ない・尿が出ない・むくみなどの症状が現れます。
⑥ 営養作用
気の営気が関与します。大量の栄養を含み、血液(血)を作りだします。
営養作用の低下は、イメージ通り、痩せやすく、疲れやすいなどを生じます。
■ 気虚が酷くなると・・・気の巡りが落ち、精神疾患に・・・
気の巡りが悪くなると気滞症という症状になっていきます。
そして、特に影響があるのが肝です。
肝の気の推動作用を【肝の疏泄作用】と呼ばれます。これが悪化する事を肝気鬱結とも呼ばれます。字のごとく、気持ちの滞りがおき、精神的な症状が生じます。
【 肝の疏泄作用とは 】
① 気というエネルギーや栄養を全身に運び、調節する。
② 精神的に思い詰めないように、安定させる。塞いだ気持ちも流し、正常な判断が出来るようにする。
③ 胃腸の作用をサポートして、流れを良くし胆汁の分泌をする。
ここで、気が付いた方もいるでしょう。②の働きが、精神に関与していきます。
以上の事から考えると・・・。
■ 不定愁訴=気虚の可能性が高い!!
とも考えられますね。
そのため、不定愁訴の対策には、気虚を改善する事が良いかもしれませんね。そのような場合に、気を補う漢方薬がオススメ。
特に、補中益気湯が良いでしょう。
この漢方薬には、身体を滋養して元気にするだけでなく、柴胡という生薬が含まれています。
この柴胡は、気を巡らし、精神安定を促す作用があります。
そのため、日々のストレス対策にもよく、気の巡りを改善しつつ身体を元気にしてくれるのです。
■ まとめ
日本において、食事の内容は以前よりも大きく変化しています。
特に、肉食などの欧米化が進んでいますね。
そのため、上手く魚介類などを取り入れてみると、不定愁訴という症状を未然に防げれるかもしれません。
また、過度なダイエットや筋トレなどで絞りすぎが、栄養不足を引き起こしているのも原因ですね。
BMIが22ぐらいが健康診断などで異常が少ないので、自分の体重を計算してみるといいかもしれません。
例えば、身長が170cmの人の理想体重は、約63.6kg・身長が160cmの人の理想体重は、約56.32㎏です。
これを見て、大体のイメージで痩せすぎていて様々な症状(不定愁訴)を感じていれば、体質改善をお勧めします。
以上、参考になれば幸いです。
参考文献:「Nutrients」に4月3日掲載